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古典音響機器ギャラリーT&C Classic Audio Equipment Gallery

〜半導体開発の原点に立ち戻る〜

- 2015.01.17 -


T&C Classic Audio Equipment Gallery

 

第五話 エジソン電球

 

 

 

  今回は当ギャラリーに展示してありますエジソン電球の話をします。

 

  最近はLED電球が一般化され、昔ながらのフィラメント電球は省電力化の観点から低効率であることを理由に姿を消しつつあります。

 

  LEDや蛍光灯は三原色の特定波長で白色の光をつくると高効率で高輝度が得られるため、多方面で使われています。

 

  個人的には電球の発する温かみのある光が好きではあるのですが時代の流れを感じます。

 

 

 

  当ギャラリーで展示しているエジソン電球

 

 

 

 

フィラメント部

 

 

 

 

  さて、子供のころ電球を発明したのはエジソンと教わった気がしますが、最近の文献を読みますと「電球を発明したのはだれか?」について

 

  エジソンではないことがわかります。

 

  電球の発明を明確にするには、定義が必要なくらい、いろいろな研究者が関わっておりますので詳細は省きますが、大まかには『最初の実験に

 

  成功した人』『製品化した人』の2つで分けますと、エジソンは発明した人ではなく『製品化した人』でした。つまり最初に作って特許を取得し

 

  たのはイギリスのジョセフ・スワンだったのです。

 

  そしてエジソンが電球の長寿命化(とはいっても数百時間ですが)に成功したのはフィラメントに日本の竹を用いたことは有名な話です。

 

 

 

 

 

 

  エジソンが特許を取得した申請図における構造図の実物コピーが当ギャラリーに展示してあります。

 

 


  展示のエジソン電球も点灯は可能ですが、時代物ですので多くの方に点灯状態をお見せしたいものの、申し訳ありませんが寿命が限られるため

 

  限定的に点灯しております。

 

  その後にフィラメントが竹や繊維に代わって金属線を用いた電球が開発されましたが、金属は線抵抗が低いために実用化のために抵抗を上げな

 

  ければならず、抵抗を上げるためにフィラメントを電球内で何度も往復するような長くする構造で抵抗値を上げています。このタイプの電球は

 

  レプリカ電球が多数出回っていますのでレプリカ電球の点灯は自由にお試し頂けます。

 

  いずれも当時は電球内の空気を抜く高真空度技術などが困難なことや、大電流を流すとフィラメントが短時間で燃えて(蒸発する)しまうため

 

  に、現在の電球のようにピカーと光るのではなくボヤーと薄明り的な光で点灯します。個人的には哀愁を感じるこのオレンジの色合いの光源色は

 

  好みです。

 

 

 

  エジソンに関しましては折をみて他のお話しをしてみたと思いますが、蓄音機の例を見ても、エジソンという人はどうも発明家というよりは

 

  実業家と言った方が正確かもしれません。

 

  なぜならば多くの発明者や技術者は相応の理論文献を残すなど、明確な理論とそれに基づく実験で説明しますが、エジソンはほとんど残してい

 

  ません。どちらかというと特許取得や実用新案そして製品のデモンストレーション、実業家とのコミュニケーションに多くの時間を費やしてい

 

  たようです。そして実に多くの仕事に手を出しては会社をたくさん作りました。例えば「エジソン電燈会社」「エジソンポルトランドセメント

 

  会社」などがあります。また一方で多くの特許係争を抱えていました。

 

 

 

 

エジソンが設立した会社の株券の一部で当ギャラリーに展示中

 

 

 

  同時代エジソンの宿敵となったニコ・テスラは、交流電源の発明という偉業を成し遂げました。にもかかわらず資金に窮し、またテスラという

 

  個人の名前がほとんど知られていないなど、エジソンとはいろいろと異なった人ですが、数式などを用いた論理的な科学者テスラと、実験や感

 

  及び信念を持った商売人エジソンとに分けることができるのかと思います。

 

  このエジソンとテスラの間柄を表すもので、エジソンは商用電源に直流を推し進め、テスラは交流を掲げました(電流戦争と呼ばれています)。

 

  エジソンはテスラを排除すべく交流は危険であるとの認識を市民に植え付けるために、何と電気死刑椅子の電気を交流にして「交流=死」の

 

  イメージを与えた経緯が有ります。

 

  結果現在の送電システムは交流となっています。テスラは存命中不運ではありましたが、機会があればこの辺について近々お話しさせて頂けれ

 

  ばと思います。

 

 

 

 

2015年 1月17日 中鉢 博

 

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