- 2017.1.13 -
T&C Classic Audio Equipment Gallery
第十三話 イツ・カリオペ社( Kalliope )ディスクオルゴール 入手失敗談
第13話は1890年頃のドイツ製カリオペ社のディスクオルゴールの入手における失敗談をお送り致します。
古いオルゴールや蓄音機などの入手先としては骨董商からの入手と海外のネットオークション及びコレクターからの譲り受けなどが有りますが、今回は骨董商からの入手失敗談をお話し致します。
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忘れた頃に商品を積んで売りに来る骨董商の親父さんがいまして、国内外のコレクターから買い集めては販売している骨董商です。
今回この骨董商から入手しましたドイツ製カリオペ社ディスクオルゴールは6音階の6ベル付オルゴールできれいな音を奏でますし痛みが少なく美品でしたが何故か本体にカリオペとの印刷が無く不審には思ったのですが金属製のディスク音源にはカリオペ(Kaliope) と記載があり他社のディスクは作動しませんのでカリオペのディスクはカリオペの本体にしか作動しませんので多分本物だろうと考え購入しました。
勿論、骨董商の親父さんも本物と信じていたようです。
(骨董品の売買は基本的に納得しての取引なので返品条件が無い限り返品などは出来ないのが通常です)
残念ながら私自身はオルゴールに詳しくありませんので購入後にカリオペについて詳細に調べてみました。
まず不審に思っていたカリオペの特徴である本体上蓋の内側にあるべき絵が無く、どうも偽物?疑惑を感じましたので更に調べていくとオルゴール駆動部分及びベル機構の外観が本物と同一で偽物と断定する部分が見当たりません。
はてさてどうしたものかと思案にくれていましたが、手掛かりが有りました。
同じドイツの会社で1990年にMMM社(Mechanische Musikwerke Manufaktur)が何とリプロダクションとして製造した記録が有り、このオルゴールはこのMMM社のリプロダクションと判明しました。そう、レプリカだったのです。
そしてこのMMM社はシンフォニオンなどの他社のオルゴールや同時にディスクも再生産として製造し、勿論現在も一般的なオルゴールの製造会社として残っていました。
成程、MMM社のカリオペ再生産なのでカリオペの名板が無かったことやデザインがカリオペの特徴を出していなかったことに納得した次第です。
しかし、機構部分はしっかり再生産してありますので相応に良い音で鳴っています。
《カリオペ社が消滅後に再生産したカリオペもどきのオルゴール》であって、古いカリオペ社のディスクが再生できるオルゴールでした。
10枚ほど付属していたディスクの中にありました1枚に【結婚行進曲】があり6個のベルと共に奏でるオルゴール音は実際の結婚式に使えるのではと思えるほど良い音です。 本物は100年以上前に製造したものですが、このリプロダクションオルゴールは25年程前のもののようです。
以上、第13話は入手失敗談でした。
参考までにレプリカ品参考写真を下記に添付しました。
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平成29年1月13日
中鉢 博