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古典音響機器ギャラリーT&C Classic Audio Equipment Gallery

〜半導体開発の原点に立ち戻る〜

- 2017.6.14 -


T&C Classic Audio Equipment Gallery

第十五話    グラモフオン社蓄音機 HMV460 ルミエール

第15話は少し変わった構造の蓄音機で1924年から1925年の1年間のみ販売された蓄音機グラモフォン社HMV460で通称「ルミエール」です。話は少し変わった構造の蓄音機で1924年から1925年の1年間のみ販売された蓄音機グラモフォン社HMV460で通称「ルミエール」です。

HMVとはイギリスのグラモフオン社の蓄音機で「ヒズ・マスターズ・ヴォイス」のことで、製作は1924年~5年の1年間のみ販売され販売台数は1037台でした。 映画フィルムの研究で有名なフランス人のルイ・ルミエールが1908年に扇子型をしたダイアフラム振動板の特許を取得し、紙材を応用して金メッキを施した円形の扇子型振動板をそのままスピーカーとして応用した蓄音機です。

モデル名はHMV460ですがルミエールの名称のほうが有名となりました。

Gramophone

このルミエールは通常の蓄音機に採用されるサウンドボックスや大きなホーンを用いずにホーンの代わりに直径36 cmの扇子状に円形を形成した振動板を用い、この振動板は金メッキを施した紙で造られていてキャビネットはオーク材を用いています。

動力はクランクハンドルでの手巻きでダブルスプリングを採用しており、回転数はガバナーによる自動調整でHMV特有の回転数表示機構を採用していて回転調整は楽に行えるようになっています。

収納は振動板左右にある黒い持ち手部分をつまんで振動板をターンテーブルと平行に寝かせて上蓋を閉じ、音楽を聴くときは上蓋を開けて針を取り付けた後に振動板の左右にある黒い持ち手部分をつまんで縦に起こしレコードの上に針を置きます。

振動板は蓄音機の心臓部分でもあり紙製なので破損しやすく取り扱いには細心の注意が必要なことと生産台数が少ないうえに取扱いが大変なのでこのルミエールは現存する台数は限られており入手が難しい蓄音機でもあります。

作動としては針先の振動を振動板中心にのびたシャフトを経由して直接扇子型振動板の中心に伝える構造で、あたかも通常の一般的なサウンドボックスを直径36㎝の大きなサウンドボックスにしたようなもので、直接サウンドボックスからの音を聴いているような状態になります。

ルミエールのサインが入ったサポート円盤や金メッキされた振動板など芸術性も高く、また振動板から出てくる音は研ぎ澄まされた気品のある音のように思われます。

ルミエールのサインが入ったサポート

尚、当館は一般公開なので触れる・鳴らす事ができる事をモットーとしておりますが、このルミエールだけは心臓部分の振動板が金メッキされた紙製なので破損しやすく、また修復が困難である事及び入手が困難などから恐縮ですがご希望のお客様にはこのルミエールに限りスタッフ立ち合いで対応させて頂きます。

平成29年6月14日

中鉢 博

 

 

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