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古典音響機器ギャラリーT&C Classic Audio Equipment Gallery

〜半導体開発の原点に立ち戻る〜

- 2022.1.12 -


T&C Classic Audio Equipment Gallery

第二十八話
スイス リージュ社 シリンダー交換式オルゴール

第二十八話はスイスの有名なリージュ社オルゴールで日本でも高級品として現在も販売されています。

1万円以下で売られているオルゴールは長さが数センチの円筒形をした真鍮または金メッキされていて曲に合わせたピンと呼ばれる細い針状の突起が周囲にたくさん出ているものをシリンダーと呼んでいます。

音階に応じて長さが異なる細い板状の振動板が並んだものがあり髪を整える櫛と形状が似ていることから櫛歯と呼ばれ、この振動版1本1本ごとに音階に応じたシリンダーから突き出たピンが弾くように櫛歯を振動させてオルゴール特有の音を出します。

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写真の櫛歯は50本の振動版で形成されていますので50音階を奏でることができますが更に高級品になりますと144音階のものも市販されています。

少し変わったオルゴールとしてはこの50音階のオルゴールをつなぎ合わせて2連演奏するものもあります。

今回ご紹介するのはこれまでのご紹介した100年以上経過したものと異なりさほど古いものではないのですが一般的にシリンダーが固定され1曲のみの繰返し演奏するオルゴールと少し異なっていて、楽曲のシリンダーが脱着式となっていて曲毎に交換ができますので任意の曲目が演奏できることが特徴です。

ご紹介するオルゴールはケースが精巧な作りで上蓋に象嵌模様がついていますし、内部の金属機構もすべて金メッキが施されていて見事な作りになっています。

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交換ドラムは写真の通り5個が内部に収納される構造になっており、また一つのドラムに2曲が入っていますので合計10曲が演奏できるオルゴールです。

このオルゴールの曲目はヨハン・シュトラウスの青きドナウなどが収録されていて紹介するオルゴールは製造番号が103/999と彫刻されていて1000台限定製造品の103台目であることと10曲分の曲名と共に金属プレートに彫刻されていて内蓋に取り付けてあります。

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内部はシリンダー5本がそれぞれ収納できる構造で、写真は1本がセットされた状態です。

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交換はシリンダー両端のストッパーを押し上げて簡単に交換することができます。

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シリンダーの収納状態写真ですが、シリンダーはピンがたくさん埋め込んでありますので振動によってシリンダーが飛び出すとピンによって内部が傷だらけになりますので飛び出さないようロック機構が備わっています。

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9話でご紹介したオルゴールと比較しますと圧倒的に音量は小さく現在市販されている一般的なオルゴールと同等の音量ですが、繊細な音の響きや音色は格段の良さがありさすがリージュ社のオルゴールといった感があります。

作りも全てが芸術品に近くリージュ社の名を汚さぬ出来栄えです。

では次話は1890年頃の同じくスイス製の中型オルゴールについてご紹介しましょう。1つのシリンダーで8~10曲を演奏できる信じられない繊細なメカニカル機構で、もちろん1回転で1曲ですから10回転で10曲となりますが、さてどのように作動するのかご紹介しましょう。

音量はびっくりするほど大きく、またドン・ドンといった重低音までの音域があるオルゴールです。(どうして重低音が出るのかもご紹介します)



令和3年12月26日

中鉢 博

 

 

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