• Home
  • 古典音響機器ギャラリー

古典音響機器ギャラリーT&C Classic Audio Equipment Gallery

〜半導体開発の原点に立ち戻る〜

- 2016.01.25 -


T&C Classic Audio Equipment Gallery

第八話 "使い捨てレコード?

1930年の紙製レコード "HIT OF THE WEEK"

  表面

  表面と裏面(裏面は紙材そのもので録音されていません)

珍しいレコードが入りましたのでご紹介します。


団塊の世代の方は1960年代にソノシートと呼ばれたビニール製のペラペラしたレコードで雑誌などに付録として一時期出回った記憶が

有ると思いますが、すでに米国では1930年に同じようなレコードが出回っていました。


早速入手したレコードの歴史を調べてみましたところこの種のレコードは1930年に導入され1932年6月には販売中止となっておりました。


当時のレコードはシェラックと呼ばれるカイガラムシの分泌物を精製して作る樹脂状の物質でレコード盤を作っていて、日本でSP盤と

呼ばれる78回転のレコードもこのシェラックと呼ばれる物質で作られていましたが、一時期とはいえ“HIT OF THE WEEK”と称して

片面でとても軽い紙製のレコードは結構インパクトが有ったのではないでしょうか。


このレコードは硬くて薄い段ボールのような紙に特許を取得した茶色の合成樹脂を片面にコーティングし、音溝をプレスした簡易型の

片面レコードですが、当時の蓄音機は再生針の針圧が高く再生回数が限られたので使い捨てレコードのような感覚と思われます。


レコードの回転数は78回転のSP盤と同じで、円盤外形は10インチ(25㎝)で中央に“HIT OF THE WEEK”と大きく印刷されておりその下に

曲名が入っています。


尚、紙製なので平面強度を保つためにフリスビーのように周囲を少し丸めてあります。

 

このレコードの販売は従来のレコード販売と異なり週刊誌・新聞販売スタンドや新聞販売店頭で新聞と共に販売していました。

 

従って価格も5セントから15セントと最安値で当時の「ヒット曲」を毎週販売していました。発売当初は成功して100万枚の需要が有った

ようで当時の大恐慌でも安価な販売が「ヒット」したようです。

 

*このレコードは書道家の故深見子浩師の弟子であり妻であった書道家の 深見紅雨 先生より譲り受けたものです。

 

平成28年1月25日

 

中鉢 博

 

ページの上部へ戻る