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古典音響機器ギャラリーT&C Classic Audio Equipment Gallery

〜半導体開発の原点に立ち戻る〜

- 2020.04.15 -


T&C Classic Audio Equipment Gallery

第二十二話         ストリートオルガンについて その3 CLARIONA ローラーオルガン 


その3では20話で入手しましたCLARIONAローラーオルガンをご紹介します。

このところコロナウイルスによる外出自粛で自宅に居ることが多くなり、必然的に作業時間が増加して進行速度が速くなりましたがニュースを見るとあまり喜べない状況です。

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CLARIONAローラーオルガンの概要

21話の自動オルガンと異なり、ロールペーパーに空けられた穴が楽譜となります。

このロール紙を送ることで穴が開いた位置のリードが鳴り音楽を演奏しますが、21話のオルガネッテの20音に比べてこの本体のリードは14音ですので穴はこの14個での演奏となり、2オクターブに少し足りませんし、半音が1か所しかありませんのでメロディと伴奏音を奏でるには少々無理がありますが作曲・編曲家の技量による部分でカバーしてあるようです。

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ロールペーパー楽譜曲で異なるが3mから6mくらいの長さです

さて、修理を進めるには難儀しました。

楽譜のロールペーパーも100年以上経過しますと酸化が進んで紙が弱くなって折り曲げるとバラバラになる部分があったりと各所に欠損が生じて10数本ある在庫品も半分くらいは使用に耐えられない状態ですので穴の位置を合わせた複製品を作る事も考えなければいけないようですが、まずは機器本体の修理を行いました。

この機種もフイゴと呼ばれる空気を送るユニットを真空引きとして使用していますので、楽譜紙の音楽に合わせた穴から空気を吸い込んでリードを鳴らす構造です。

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14音リードバルブ音源ユニット

修理を始めるとフイゴの可動部分である布や逆止弁として使う革がボロボロ(120年以上前なので当たり前ですが)でしたが、今回はすべて張り替えるのではなく何とか使える部分は補強を行って再利用することにしました。

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分解・修理中の写真折り目等に穴が開いている

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修理後の内部

修理完了後に早速鳴らしてみました。

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写真はカバーを外してロールペーパーをセットした状態ですが、ロール紙の穴から本体へ大気を吸い込んでロールペーパーの下にあるリードを鳴らします。

1秒間に2回程度の回転スピードでクランクハンドルを結構忙しく回しますが、結構大きな音で演奏することができました。

駆動部分はほとんどが木材なのでクランクを回すとキコキコと音が出ますが演奏音を邪魔する程度では無いので愛嬌でしょうか。

演奏が終わるとギア機構を開放してロールに付属する小さなクランク棒を回してロール紙を巻き戻して完了です。

演奏ごとにロール紙を巻き戻すのもこれまた当時を偲ぶことができます。


ストリートオルガン制作の途中経過その4

製作中のストリートオルガンの進行状況です。

製作図面があるわけではなく、すべてが試行錯誤の組み立てなので実験と制作ごとに形が変わりますので完成後の様子が見えなかったのですが、何となく完成形の形が見えるまでになりました。

完成のイメージが設計できないまま作り始めるのも私として初めての経験ですが、一個一個「そーなんだ」とか「だめだ、作り直し~」と納得しながら先の読めない制作も久々に楽しい作業です。

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完成した14本のパイプ

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パイプ取り付けのイメージ考え中

パイプの製作は思ったより精度が必要で、適当に作った部分は結局作り直しするなど私には音が出るまでハードルが高かったと感じました。

ホ~ホ~と音が出ると思わず昔に竹で出来た鳩笛で遊んだ頃を思い出します。

制作には予算の都合もあり、手持ちの安物電動ノコギリと簡易取り付け台のこ盤モドキを使ったのですが安物では平行度や直角度が安定せず、かといって高価な機材で良いものは作れるのは当たり前なのですが購入予算と保管場所や今後も使うことがあるか?と考えるとそこはアマチュア的に難儀しながら手元の機材で試行錯誤を繰り返して技量を上げつつ製作しています。

次回は現在試行中のロール紙の穴に応じた音階を読み取る機構と紙送り機構をお見せできる?予定です。



令和2年4月15日

中鉢 博

 

 

PS: 何と、エジソン蓄音機の初期高級機「オペラ」がオークションに出てきましたので落札!

       不動品および破損個所多数とのことでしたので直し甲斐がある?(直るか不安)直りましたらご紹介します。

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