- 2020.05.27 -
T&C Classic Audio Equipment Gallery
第二十五話 1902年 フランスのパテ(PATHE)社蓄音機 ゴロア「GAULOIS」
第二十五話は初期エジソン蓄音機円筒形レコードの蝋管も再生できるフランスのパテ社(PATHE)蓄音機でモデル「ゴロア」GAULOIS」を入手しましたのでご紹介します。
入手した蓄音機は長い間使われていないまま保存されていたようで、痛みが少なく復元は楽でした。
円筒型エジソン蝋管2分用を再生することができますが、エジソン蓄音機と構造を比較すると意外に簡素化・軽量化が図られていてメンテナンスは楽な設計となっています。
フランスのパテ(PATHE)社
パテ社は上記写真のように本体や部品にロゴの雄鶏が使われています。
パテ社の初期蓄音機はどれも構造上からか再生音が高音を強調され丁度雄鶏が鳴く「コ、コ、コケッコー」の音程に近いキンキンした音のためにあえて雄鶏をロゴにしたのかなと当初は勝手に思っていましたが、実は深い意味がありました。
それは昔にフランスを象徴する雄鶏として使われました。
この蓄音機のモデルをゴロワ(gaulois)と付けられていますがフランス人の祖先をフランス語ではゴロワ(gaulois)と言うようです。辞書を見るとガリア人と訳してありますが、またこの言葉は雄鶏またはゴロワを指しています。
死を恐れずに戦うガリア人と雄鶏の戦う勇姿からフランスのシンボルとして雄鶏を使うようになったようです。
パテ社の円盤型蓄音機は第6話の「番外編その2」に紹介してありますので参考にして下さい。
再生可能な蝋管は2分用で、これはエジソン蓄音機と同じくギアで2分用の移動スピードに合わせ強制移動させていますので4分用は使うことができません。
レプロデューサー(音口と呼ばれるもので針と振動板の組み合わせです)の振動板は薄いマイカ板を使っていて、ホーンは軽量化のためにアルミ製なのでよりキンキンした音になるようですが、もしかするとこのホーンは他のモデルを流用したのかもしれません。
また、パテで使われているアルミニウムホーンですが当時アルミニウムはフランスで発明されたためかエジソン蓄音機にはアルミニウムが使われていません。
メンテナンスを行っていますと、やはりフランス製と思われる点が各所に見受けられるのも当時が偲ばれ楽しいものです。
令和2年5月27日
中鉢 博