- 2020.05.24 -
T&C Classic Audio Equipment Gallery
第二十四話 エジソン蓄音機 「オペラ」 1911-1923年
第二十四話はエジソン蓄音機でも入手が困難な「オペラ」を入手する機会が有りましたのでご紹介します。
入手した蓄音機は不作動品として要修理でしたが、何とか修理が終わりましたので修理状況を含めてお話させて頂きます。
エジソン蓄音機「オペラ」の概要
エジソン蓄音機「オペラ」は1911年にアメリカで、1912年にイギリスで導入されました。発明当初の2分間蝋管は使用できず4分間のアンベロールシリンダー(1912年に導入された青色セルロイドを外周に張り4分間の音楽などを録音した蝋管)のみ再生装置です。このモデルはセルロイドブルーアンベロールを演奏するためのダイヤモンドAリプロデューサーを使用しました。このリプロデューサーはシリンダーディスクの最高の音質と思われます。その理由の1つとしてホーン(音を広げるラッパ型)が固定され動いていないということです。他のエジソン蓄音機はホーンが移動して蝋管は回転しますが溝に沿って移動しませんのでホーンの重量に耐えながらスライドする固定装置には限界がありましたが、オペラはホーンが固定で蝋管を移動させる構造ですので他の蓄音機よりもはるかに重量を気にせず大きくすることができました。具体的には回転しながらシリンダーを移動させるという複雑な動きをエンジニアリングテクニックによって可能としました。
話が少々難しくなりましたが、レコードを再生するのに一般的な方法の針を移動させるか、針を固定してレコードを移動させるかの違いです。
販売価格は当時90ドルで1913年まで制作販売しました。
寸法:幅:450 mm高さ:940 mm 深さ:310 mm
エジソン蓄音機は多くのモデルが発売されましたが、多くの収集家はエジソンシリンダー蓄音機の頂点としてこのオペラを挙げています。木製のシグネットホーンは確かに以前のエジソン蓄音機には無い独特の豊かな音を生み出しています。
このオペラはオークとマホガニーの木材ケースで作られていてケースの両脇についているハンドルも特殊加工された華やかな金属が付けられています。
オペラは1913年に他の蓄音機会社との訴訟でオペラの名前を変更することを余儀なくされ後にコンサートと呼ばれました。
「オペラ」修理箇所
入手した時は前の所有者が展示目的でしたので不作動品および破損個所があるとのことで譲って頂きました。
100年以上経過していますので外観上の擦り傷や木材の破損、再塗装などの手入れは仕方ないことですが肝心の機械部分のダメージはダイアモンドレコード針欠損および振動板破損と回転軸についているフライホイールの割れとオートストッパー金具が無くなっているだけで致命的な故障が無く安心して修理に取り掛かれました。
とはいってもレコード針と振動板の修理交換は簡単ではなく、このオペラまたはこの部材を兼用している他のエジソン蓄音機から取り出すしか方法がなく手持ちの修理が難しいアンベローラモデルから取り出して移植することにし、紛失していたオートストッパーは入手が極めて難しいために金属加工で制作することとしました。
その他本体ベース取り付けねじがありませんでしたが、これはマイナスねじでかつインチサイズですが規格品なので何とか入手することができました。
(今でもねじ頭がマイナスでかつインチサイズを作っている会社があるのには驚きました)
また本体を乗せるパネル板がバラバラに破損の状態でしたが接着で復元できましたが欠けている部分があり、この部材がなかったので同様の木材で破損個所の修復加工を行いましたが、一番大変だったのは補修箇所の木材塗装でした。
色合わせのために余った木片に各種ステイン塗装とマホガニーニスやローズ色などの組み合わせで色を塗って一番違和感のない塗装色を探し出して補修しましたが、100年以上経過した木材の汚れと古びた感じを再現するのは難しいものです。
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ストリートオルガン制作の途中経過その4
製作中のストリートオルガンの進行状況です。
ほぼ完成しました。
音階合わせをチューナーで調整して、早速鳴らしてみます。
そこそこ音は出る(音楽らしくは鳴るが)
しかし・・・単品では良好なパイプも何か変?
個々の調整にはまだまだ時間が掛かりそうです。
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音符紙の送りスピードとパイプの送付空気量や、
パイプの音量のばらつきなどまだまだ改造しなければならない箇所が・・・
外観の製作にはしばらく時間が掛かりそうですが、設計図もないもないところからスタートした割には良く出来た(自画自賛)と思います。
令和2年5月24日
中鉢 博